感冒は、咳、鼻水、喉の痛み、発熱などの症状を呈するウイルス感染症です。
多くの場合はライノウイルスが原因です。
ライノウイルスは100種類以上の血清型に分類されています。
通常、小児は1年に8~12回、成人は2~3回ライノウイルスに感染しています。
インフルエンザウイルスを別として、ライノウイルスなどのかぜ症候群の原因ウイルスに対する抗ウイルス薬などの根本的な治療方法はなく、症状に応じたサポート(対症療法)を必要なときに行います。
対症療法
飲食や睡眠などに支障がなければ、なにもする必要はありませんが、支障があればそれぞれの症状に応じてサポートしましょう。
1.発熱
使用してよい解熱剤はアセトアミノフェン、イブプロフェンです。
根本的な治療ではありませんが効果は一時的ではあるものの食欲の回復や睡眠の確保に役立ちます。
2.鼻水、鼻づまり
3.咳
- お茶などの温かい飲み物を与えましょう。気道粘膜を和らげたり、鼻の粘液を出しやすくしたり、痰を軟らかくしたりします。
- 蜂蜜:1歳以上のお子さんが対象です(0歳児はボツリヌス菌感染の危険性がありますので与えないでください)。スプーン1杯程度が目安です。そのまま与えてもよいし、ジュースなどで薄めて与えてもよいでしょう。
- コーンシロップ:蜂蜜を与えることができない場合にはコーンシロップがお勧めです。
- キャンディー、トローチ:5歳以上のお子さんが対象です。刺激に敏感になっている喉のをコーティングしてくれるためお勧めです。4歳以下では窒息の可能性があるため与えないようにしましょう。
4.喉の痛み
- 蜂蜜入り紅茶(レモン添加可)などの温かい飲み物をあたえましょう。
- 氷やアイスクリームなどの氷菓子
- キャンディー、トローチ:5歳以上のお子さんが対象です。4歳以下では窒息の可能性があるため与えないようにしましょう。
- うがい:6歳以上なら塩水でうがいを行いましょう。塩水の作り方:水240mlにスプーン 1/4杯~1/2杯程度を混ぜてください。
- 鎮痛薬:アセトアミノフェン、イブプロフェンを使用してもよいでしょう。
風邪の原因となるウイルス
ウイルス |
風邪に占める割合 |
時期 |
臨床所見 |
ライノウイルス |
30-50% |
年間通じて流行。春と秋にピーク。 |
|
RSウイルス |
5% |
11月~3月 |
細気管支炎 |
インフルエンザウイルス |
5-15% |
冬。2月にピーク。 |
インフルエンザ、クループ、肺炎 |
パラインフルエンザウイルス |
5% |
9月~1月。10月~11月にピーク。 |
クループ |
アデノウイルス |
5%未満 |
9月~5月 |
咽頭結膜熱(プール熱) |
エンテロウイルス |
5%未満 |
年間通じて流行。夏にピーク。 |
無菌性髄膜炎、ヘルパンギーナ |
コロナウイルス |
10-15% |
11月~2月 |
肺炎、クループ |
ヒトメタニューモウイルス |
不明 |
冬~春 |
肺炎、気管支炎 |